放課後等デイサービスとは?おもちゃや遊具が盛りだくさんなのもよいけれど・・・
2018/02/13
わたしのムスメも利用している放課後等デイサービス(略して放課後デイとか放デイとか言います)。
この1、2年で各地に事業所が急増中。
私も2ヶ所の事業所で放課後デイの職員をしたいたことがありますが、福祉事業所としての質を担保することの難しさを感じています。
どれだけ増え続けるの?と思いつつ、放課後等デイサービスの現状や今後の課題などをここに書きたいと思います。
放課後等デイサービスとは?
名称から、よく知らない人は学童保育だと勘違いしていることもあるのですが、基本的には障がいのある子のためのサービスです。
Wikipediaによる説明を以下に引用します。
主に6歳から18歳の障害のある児童を対象として、放課後や夏休み等長期休業日に生活能力向上のための訓練および社会との交流促進等を継続的に提供する。1か月の利用日数は施設と保護者が相談した上で自治体が決定する。利用に際して療育手帳や身体障害者手帳は必須ではないため、学習障害等の児童も利用しやすい利点がある。月額の利用料は原則として1割が自己負担で、残りのうち国が2分の1負担、都道府県と基礎自治体が各4分の1を負担する(所得により上限があり、自治体独自の補助を設けている場合もある)。法改正によって未就学児童は児童発達支援事業、学齢期児童は放課後等デイサービスに分かれ、障害の種類にかかわりなく利用できるようになった。民間事業者の参入も進んでおり、利用者の選択肢が増えている。
かつて障害児施設(通所・入所とも)は障害の種類等によって受けられるサービスが分かれていたが、2012年4月1日に児童福祉法の一部が改正されて一元化された。
運用の仕方は各自治体で違うのですが、働いているお母さんが学童保育のように利用できる自治体や、就業目的の場合は認めない(あくまで療育目的のみ)という自治体もあります。
ちなみに私の住む地域は就業目的の利用が可能で、就業の証明書があると、月単位の利用日数を増やしてもらえたりします。
我が家の場合、放課後等デイサービスを利用する以前は「日中一次支援」というサービスを利用していました。
日中一次支援は年齢の規定がないのですが、ムスメが行っていたところは成人の利用者がおらず、子ども中心のところでした。
放課後等デイサービス、どうしてこんなに増えるの?
私が住んでいる地域には、昨年度から今年度にかけて4ヶ所の放課後等デイサービスが出来ました。
近隣の市にも続々と出来ていて、小学校の支援級や特別支援学校に通っている子の母たちのあいだで、それぞれの事業所についての情報が行き交っています。
ここ最近、どうして放課後等デイサービスが増えているかというと、上記Wikipediaの説明にもある通り、2012年に児童福祉法が改正され、障害の種類等によって受けられるサービスが分かれていたサービスが一元化されたこと、報酬単価が倍になったことなどを理由に民間企業がどんどん参入し、児童発達支援(未就学児)や放課後等デイサービスが急増するようになったのです。
急増して起きる問題
求人情報などを定期的に目にしている方は気づくかもしれませんが、児童発達支援、放課後等デイサービスを提供する上で必須に配置すべき人員、「児童発達管理責任者」を募集している求人案件が増えています。
放課後デイが増えているのだからあたりまえといえばあたりまえなのですが、児童発達管理責任者になるための要件は簡単ではないので、放課後デイの急増に児童発達管理責任者(略して児発管)の人数が追いついていないように感じます。
児童発達管理責任者は実務経験の長さがモノを言う資格です。
相談支援事業経験者の場合は5年、障害児施設や老人施設などの直接支援事業の経験者の場合、指定国家資格有資格者で保有資格の職に5年以上従事した人の直接支援事業経験が3年、社会福祉主事任用資格やホームヘルパー2級、児童指導員任用資格者、保育士などの人は直接支援事業経験が5年、無資格者の直接支援事業経験は10年で児童発達管理責任者の要件を満たします。
この要件、ちょっとわかりにくいので、詳しく知りたい方は以下の表を見て下さい(小さい字で見難くてすみません)。
まあとにかく、長い経験が必要ということなのですが、福祉の仕事を長く続けるのが大変ということはよく知られていますよね。
他の職種と比較して、労働の重さのわりに給与面がよくないということはよく言われることですが、離職率が高く、人が辞めれば残った人にしわ寄せがきます。
児童発達管理責任者をたくさん募集したところで、よい人材がすぐに見つかるかといえば、現実的には難しいと思います。
ムスメが利用している放課後デイで起きたことですが、児童発達管理責任者が退職し、新任が見つからなかったので、お隣りの市にある系列事業所を閉所し、ムスメが利用しているところと合併しました。閉所した事業所の児童発達管理責任者と利用者を呼び寄せてなんとかしのいだ感じです。
児童発達管理責任者の適性についてもよく見極めなければならないと思うのですが、障がい児に関わる仕事でありながら、老人施設の経験をもとに児童発達管理責任者の要件を満たして従事している人が多く見受けられるということです。
もちろん、老人施設の経験者の方でも、障がい児について深く勉強された方もいるかもしれませんが、私が実際に会った児童発達管理責任者の方で、障がい児について知識が浅いな、と感じた人が何人かいます。
それは、自分が職員として接した管理者(2ヶ所勤務したうちの1ヶ所の)に対する印象もありますが、ムスメの利用を前提として見学に行った事業所の管理者に対する印象でもあります。
障がい者事業に対して適性のある管理者でないと、どのような問題が起きるかといえば、「しつけ」と称して障がい特性からくる行動を無理やりな方法で直そうとしたり、いわゆる健常児に近づけようと子どもに無理を強いたりします。
知的障がいのある子で、外で散歩するときにニコニコ笑っている子がいましたが、その子に対して、「にやにやしながら歩いていたら、おバカな子だと思われるからやめなさい!」と怒った児童発達管理責任者の方を見たことがあります。
私はそれを見てとても悲しい気持ちになりましたが、これが放課後デイの現実です。
ムスメが現在利用しているところの児童発達管理責任者や職員の方たちは優しい方ばかりなので、今のところ特に問題はありませんが、急増中の放課後等デイサービスという事業全体をみると、玉石混交なのだと思います。
おもちゃや遊具が盛りだくさんなら子どもは満足?
KID-O-KIDO(キドキド)で有名なボーネルンドさんがプロデュースした放課後等デイサービスが全国にいくつかありますが、その一つが私の住む地域にも出来ました。(私の家からはかなり遠いけれど)
(↑上の画像はキドキドのサイバーホイール)
ムスメを連れて見学に行きましたが、中はキドキドそのものでした。
キドキドがそのまま放課後デイになった感じ。
長くて広いエアトラックがあって、サイバーホイールという透明な輪っかの遊具やクライミングウォールがあったり。
そして施設のはじっこにおもちゃのスペースがあって、ボーネルンドのお店でよく見かけるマグフォーマーやカラフルギアーなんかもありました。
ムスメが幼稚園のときに、県内各所のキドキドにたまーに連れて行ったこともあり、ムスメと私にとっては新鮮味に欠けるというか、「キドキドだねぇ」という印象しか残らなかったボーネルンドプロデュースの放課後デイ。
今いちピンとこなかったのは、「なんか落ち着かない」という感じがするからでしょうか。
ムスメの発達年齢からいうと、遊具だけで遊ぶなら、1時間も遊べば飽きてしまいそうでした。
放課後デイもその子に合う合わないがあると思いますが、週に何度か利用するなら、ある程度落ち着ける環境で、学校の宿題をやったり、工作ができたりするほうが、ムスメには合っている感じです。
設備も大事かもしれませんが、ヒトとの相性もあると思います。
いくら楽しい遊具やおもちゃがあっても、そこにいる大人が楽しく子どもと関わらなければ、子どもは何回もそこへ訪れたいとは思わないのではないでしょうか。
よい人材をいかに育てるかが、放課後デイが生き残っていくための鍵となるような気がします。
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