東京おもちゃ美術館のおもちゃ学芸員てどんな人がなるの?
2016/01/29
私は東京おもちゃ美術館のおもちゃ学芸員をしておりますが、自宅からそんなに近いわけでもないし、時間を持て余しているわけでもないし、「わざわざそんな面倒なことをやるなんて」と、周囲からは「奇特な人」扱いを受けております(汗)
学芸員どうし話しをすることがありますが、おもちゃ学芸員のみなさんに共通して言えることは、「自分のためにやっている」ということ。
ボランティア(交通費と謝礼あり)なので、一見、「人のお役に立ちたい」という人ばかりかと思うかもしれませんが、実際のところは奉仕の気持ちだけというわけではないようです。(私も含めて)
おとなになっても向上心は忘れないぜ!
おもちゃ学芸員の方たちの動機ですが、私の印象では以下の方たちが多いように思います。
1.幼稚園・保育園などの保育関係者の勉強の場。
2.モノ作り大好き!な方たちが手作りおもちゃのスキルアップのため。
3.定年退職者の方など、時間の有効活用として。
4.子どもが大好きな方が関わりを求めて。
5.コマやけん玉、ボードゲームなどのスキルが高い方が発表の場を求めて。
6.昔遊びを伝承したいという思いのある方。
ちなみに私の動機は上記1.に近くて、療育的側面からおもちゃを見たり、お子さんたちのおもちゃの遊び方などを見てみたいという感じです。
あともう一つは、東京おもちゃ美術館を運営しているNPO法人日本グッド・トイ委員会の運営手法を間近で見たいということもありました。
NPOの運営の大変さ(特に資金面)を知っているので、順風満帆な運営のグッド・トイ委員会の手法はとても興味深いものがあります。
おもちゃ学芸員さんとの思い出
ムスメが5歳のときにはじめて東京おもち美術館へ連れて行きました。
そのときに、優しくて親切で素晴らしい学芸員さんに出会ったのが、私がおもちゃ学芸員になったきっかけでした。
・・・と書くと単なる美談ですね。
優しくて親切で素晴らしい学芸員さんに出会ったというのはウソで、本当のところは、わりと強引にムスメに関わってくる学芸員さんから逃れようとしながらの館内巡りで、親としてはちょっとシンドイ思い出しかありませんでした。
私のムスメは当時、突然、知らない人が関わってくるのが苦手でした。(人見知りということではなくて)
電車で知らない人に席を譲られただけで嫌がる子なので、外出自体がシンドイのですが、当時の私はそれでも頑張って外出しようとする母親なのでした。
自閉症スペクトラム障がいというスケールのどこかに位置している私のムスメですが、ムスメを怖がらせることなく関わるには工夫がいります。
突然、ムスメと関わってきたおもちゃ学芸員さん。特別にこの学芸員さんが悪いということではなくて、学芸員としては普通の振る舞いだったのだと思います。
東京おもちゃ美術館は障がい者割引などもありますが、入館者全体で見ると、障がい児者の入館割合は1割にも満たないと思います。
車いすや装具を付けた人などは、見るからに障がい者とわかりますが、自閉症などは奇声をあげるタイプの子以外、わかりにくいですよね。
障がい児者とおもちゃ学芸員
おもちゃ学芸員になるときに研修を受けましたが、スタッフの方と面談があり、いろいろ質問もしました。
障がい児者のお客様が来館したときの対応なども聞きましたが、回答としては、
「他のお客さんと同じように接して下さい」
でした。
何か違う気がするな、と私は心の中で思いましたが、世間一般の考えとして聞き流すことにしました。
説明しても、わかってはいただけないと思ったからです。
当事者に近い人しか分かり得ないことというのはたくさんあります。
ふと、おもちゃ美術館のようなところで、はじめて出会う障がい児者(特に自閉症)と関わる理想的な方法ってなんだろう?
と考えてみました。
たぶん、いきなり子どもと関わるのではなく、その子についている保護者にまず、声をかけるとよいのではないでしょうか。
どんな遊びが好きだとか、いろいろ聞いていくうちに、その子の障がいの特徴もわかってきたりするかもしれません。
まあ、見た目にわかりづらい障がいの場合、どう接してよいかわからないというのもわかります。
ダウン症のお子さんなどは人懐っこい子も多いので、いきなり関わっても大丈夫そうだし、本当に、タイプはそれぞれですね。
自閉症児のお母さん、出かけてシンドイ思いをすることも多々あるかもしれませんが、めげないでね。
お互いがんばりましょうね。