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NNNドキュメント「KENDAMAで”楽しい”で世界をつなげ!」を見て。窪田 保 さんのけん玉人生。

      2018/11/20

私は元おもちゃ学芸員ですが、おもちゃ美術館にいるおもちゃ学芸員さんの中にはけん玉が得意な方がけっこういました。

私はというと、たどたどしく「もしかめ」ができるくらいです。

 

けん玉の美しいフォルムが大好きで、いろんな模様や形の剣玉を持っています。

 

私のムスメは、学校の支援級でもよくやっていたし、放課後等デイサービスでもブームだった時期があり、上手な子と一緒になって剣玉の技を練習していたことがあります。

 

 

先日の日本テレビ NNNドキュメント「KENDAMAで”楽しい”で世界をつなげ!」を見ましたが、けん玉が人を笑顔にするパワーを垣間見た気がしました。

番組では窪田 保(くぼた たもつ)さんという、人生をかけてけん玉に取り組む人が紹介されていました。

 

けん玉学―起源から技の種類・世界のけん玉まで
けん玉学―起源から技の種類・世界のけん玉まで

↑窪田さんの本

 

窪田さんがけん玉の普及活動を目指すようになるまで

 

現在、一般社団法人グローバルけん玉ネットワーク代表理事を務めている窪田 保さん。
窪田さんはもともと、中学から大学1年にかけては柔道を真剣に取り組んでいましたが、練習で腰を怪我して、リハビリの日々を送るようになります。
この時期を「僕の中では暗黒の時期」と窪田さんは言っていましたが、怪我で以前のように身体を動かせなくなり、前に進んで生きていないような「焦り」を感じていたそうです。

 

そんな時にふと、小学校の時に熱中していたけん玉を手にし、やっていくうちに「もっとちゃんとやりたい」と思うようになります。

 

こうして、大学3年の夏休みには、けん玉50本をリュックに詰め込み、全国行脚します。
およそ50日かけて各地をまわり、楽しさを伝えたそうです。

 

全国行脚で窪田さんが気づいたことは、けん玉を通じて人々が笑顔になれるということ。

 

そして大学4年のときには、「もしかめ」の技を休みなく8時間続けることに成功しました。
日本けん玉協会が認定する「もしかめ最多連続記録」の中で、前人未踏の世界記録です。

 

さらに、大学卒業後は、アフリカのモザンビークに青年海外協力隊員として2年間、現地の中学校で理科や数学を教える活動の傍ら、日本から持ち込んだけん玉を持ってあちこちの村を訪ね歩き、その楽しさを伝えました。

モザンビークでも、けん玉が人と笑顔を繋いでくれたことを実感する窪田さん。

 

それから14年経ち、窪田さんが最も力を入れているのが「けん玉ワールドカップ」です。

 

「けん玉ワールドカップ」で世界をつなぐ

 

広島 決勝

 

毎年7月、けん玉発祥の地である広島県廿日市市で「けん玉ワールドカップ」が開催されています。
今年(2018年)4月、「けん玉ワールドカップ」の予選会が世界各地で始まりました。
窪田さんは、アジアやヨーロッパの大会を開催し、けん玉の普及活動と併せ、1ヶ月で7万キロを移動する強行軍でした。

 

世界各地の予選会で優勝すると、日本で行われる決勝戦へのシード権を手にすることができます。
2014年の初開催以来、けん玉ワールドカップへのエントリー数は右肩上がりでしたが、4回目の開催となった昨年(2017年)、海外選手の参加が減少してしまいました。

 

原因は、自己負担になっている渡航費や宿泊費です。

当初は来日していた有力選手たちが、お金が続かず出場を諦めていたのです。

 

そこで窪田さんは今回、予選会をまわる間に、世界各地から、「それぞれの地域でけん玉を広めるために頑張っている人をけん玉ワールドカップに招待する」旨のメッセージを送り、クラウドファンディングを募りました。

 

このクラウドファンディングは成功し、世界中から1,000万円を超える資金が集まりました。

 

「けん玉ワールドカップ」によって、海外の選手と切磋琢磨し、けん玉の輪が世界に広がっていきます。

 

けん玉の新しい可能性

 

県立広島大学に向かった窪田さん。

けん玉が、身体にどんな効果をもたらしているのか、科学的に調べることにしたのです。

 

けん玉をしている時の全身の動きをコンピュータ-に取り込み、解析していきます。

 

すると、「全身でバランスをとらないと失敗してしまう」ということがわかり、けん玉には、体幹を鍛える効果が期待できそうなことがわかりました。

 

さらに、玉を目で追い、技をきめる動作は、集中力アップや脳トレにつながりそうな可能性もありそうです。

 

 

 

私は、この番組を見るよりずっと以前に、ある学習塾で、授業の前にけん玉をさせているところがあるというニュースをテレビで見たことがありました。(どこの番組かは忘れてしまいました)

フィギュアスケートの羽生 結弦 選手やレスリングの吉田 沙保里 選手も試合や練習の10分前などにけん玉をしているとのことなので、けん玉をした後の集中力の高まりを実感している人は多いのでしょうね。

 

私も、今の職場に勤務する前までは、けん玉を練習する習慣があったのですが、職場が激務なことと、持ち帰り仕事の多さでだんだんとけん玉から遠のいてしまいました。

けん玉を7本も持っているのにもったいないですね・・・。

 

注意散漫なムスメに、集中力が高まるけん玉はとてもよさそうなので、時間を作ってこれからぜひとも習慣化していきたいと今回の番組を見て強く思いました。

高学年になると勉強がどんどん難しくなるし、集中力がないと解けない問題もたくさんあるからです。

 

けん玉は、「楽しみながら集中力も増している」という一石二鳥な存在ですね。

 

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