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NHKあさイチ「女性の発達障害」空気を読みすぎるから大変?

      2018/11/20

今朝のあさイチは、発達障害を「女性」にのみ焦点を当てて特集していたので、自閉症スペクトラム障がいのムスメを持つ私からすると、とてもためになりました。

 

 

空気を“読みすぎる”過剰適応?

 

 

私のムスメは、早期療育を受けたこともあってか、高学年になった現在では、一見、自閉症と診断されている子だとはわからない感じに成長しました。

しかし、いらぬストレスを学校でため込み、頭痛が慢性化してきています。

そんなムスメの状態と、とても重なる人があさイチに紹介されていたので、「わかるわかる!」と思わず声を出してしまったほどです。

 

自閉症 発達障害

 

番組で紹介された国実マヤコさんは、発達障害の診断を受けている方で、仕事の打ち合わせにも、以前は周到な準備をして挑む完璧主義な人でした。

大切なことを文字化しておかないと不安になり、ストレスやプレッシャーが強くなるので、あらかじめ「台本」を用意していました。

その台本に、「ここでこういう表情をする」、「必ずここは笑顔で言う」、「気の利いたギャグを挟む」といった細部まで書き込まないと、相手と話すのが怖かったのだそうです。

相手が返してくる言葉のパターンも最低3パターンは予想し、書き込んでいました。

 

膨大な量のセリフを暗記していた国実さん。

台本通り話しているうちに、話すスピードや口調まで、相手に合わせることができるようになってきました。

 

 

この国実さんの行き過ぎた行動の正体を、発達障害専門のクリニックで、解明してくれました。

 

それは「過剰適応」というもの。

 

発達障害の、特に女性が陥りやすい傾向にあるそうです。

 

自閉症タイプ(ASD)の特性として、完璧主義という面がありますが、すべてをきっちりやろうとすると、「過剰適応」になっていきます。

「適度にやる」ということができないから、そのようになるのだそう。

 

病院で「過剰適応」と言われた国実さんは、頑張りすぎていた自分に気づき、働き方を見直します。

会社を辞めて、自分で仕事を調整できる、フリーライターに転身しました。

 

現在の国実さんの台本は、項目が最小限になり、絶対に話しておくべきことや、自分の譲れないことが書かれ、かつて数10枚あった台本は、2枚程度に収まっています。

自分の特性を理解したことで、「完璧」へのこだわりが和らぎ、不安が減っていったそうです。

 

国実さんは、「気付かぬうちに、普通を演じていたり、頑張って普通を演じている、頑張って適応しているという可能性があることを頭に入れておくことが重要」と話しています。

 

過剰適応になったきっかけ

 

国実さんが発達障害と診断されたのは33歳のときで、それまで、周囲とのズレに苦しんできました。

 

中学の頃、卒業文集で「ひょうきんな人1位」と書かれていた国実さんは、とても驚いたそうです。
自分では普通のつもりなのに、周りから「変わっている人」「面白い人」と言われ、思い悩んでいたそうです。

 

高校時代には、拒食症で学校を休んでいた友人が久しぶりに登校してきたときに、周りの人たちが気を使って拒食症のことを触れないようにしていたのに対し、国実さんは「どうしたの?ガリガリじゃん」と言ってしまいました。

本当に心配して言った言葉でしたが、周囲からは、「あれはないよね」といった批判の声がヒソヒソと聞こえてきたそうです。

 

国実さんは、「空気の読めない人」と周りに思われていたのを察知し、次第に周りの目を気にするようになりました。

本来は空気が読めない気質なのにも関わらず、嫌われるのが恐くて過剰に空気を読もうとしてしまうようになったのです。

 

大学を卒業した国実さんは、出版社に入社し、「台本を作る」という作戦を開始しするに至りました。

 

女性の発達障害ならでは「空気の読みすぎ」

 

わかりにくい 空気を読む

 

一般的に、発達障害の人は「空気が読めない」とその特性を説明されることがありますが、女性ならではの「相手に合わせよう」とする性質が重なって、「過剰適応」となってしまうことがあるようです。

 

それまで、発達障害は男性に多く、女性に少ないものと言われてきましたが、最近になって、女性ならではの特性が研究されるようになり、わかってきたことがあるのだそうです。

 

どんぐり発達クリニックの宮尾 益知(ますとも)先生は、「もともと男性と女性の役割の上でも、女性は、みんながわかりあえるグループを作っていくようなところはあり、男性はそういったグループは作らず、真ん中にあるもの(コンピューターやゴルフといったこと)についての話だけをしているので、別に空気を読む必要がないということが大きな違いだと思います」とし、「グループごとに関心や話題が違うので、それも全部(女性は)読まなければいけないということも、過剰に頑張らなければならない理由だと思います」と話していました。

 

また、自身も発達障害の栗原 類さんは、「男性と女性でのとらえられ方の違いというのもあって、片付けが苦手とか、忘れ物が多いといったことは、男性より女性の方が”だらしがない”と思われやすく、本来、そこで男女の差はあってはならないのに、差があるのが現実なので、女性の方が、より重い状況だと思う」と話していました。

 

「誰しも、空気を読んで人に合わせるようなとことはあると思いますが、(発達障害の人と)どのあたりの境界線があると思いますか?」と司会の博多 大吉さんが質問したところ、宮尾先生は、「外で人に合わせていても、家に帰って疲れがとれたり、違和感がなかったりすれば、正常の範囲。発達障害の女性の場合は、外で合わせる分、家に帰ると鎧を脱ぎ捨てたような状態で、くたびれてくたくたになって、何もできなくなるような状態になります。それが過剰適応というものです」と話していました。

 

 

 

私もムスメが日常的に頭痛に苦しんでいることを「何とかしたい」と思っていたのですが、ムスメは学校でとても遠慮がちな子で、なんでも他の子にゆずってしまうようなところがあり、こういったことがストレスになっているのかもしれません。

「頑張りすぎない環境」を整えてあげるのも、大切なのだな、と、今日の番組を見て切に思うのでした。

 

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