ふくしのおもちゃ箱

おもちゃと療育、障がい児や高齢者福祉、ときどきウクレレ

*

伊是名夏子さんに対する批判について考えてみた

      2019/06/10

先日の記事で、Eテレ・ハートネットTVの感想として伊是名(いぜな)夏子さんについて触れました。

 

伊是名夏子さんは骨形成不全症で、骨が折れやすく、低身長なので、生きるためには、人の助けが不可欠な方です。

 

私は先日のハートネットTVを見た後にいろいろ調べたことで、伊是名さんが中野淳アナウンサーの奥さんであることを知ったのですが、それから、伊是名さんのブログやメディアに寄稿された文書を読んで、伊是名さんの生き方に感心しました。
しかし、伊是名さんについて調べている過程で、伊是名さんについて批判的な意見を言っている人がいることも知りました。

 

障がい者と健常者の心の隔たりと、それに負けない心について、今回の記事は書きたいと思います。

 

 

障がい者は社会のお荷物なのか?

 

伊是名さんについての批判として、「社会のお荷物」という、なんとも心無い言葉を見つけてしまいました。

 

私はネット上でたまたま批判しているサイトを見つけたのですが、ネットだけでなく、伊是名さんに直接、批判が寄せられることもあるそうなので、周囲の助けを得ながら生きている人に対する風当たりは、かなり強いものなのだと思いました。

 

私には、自閉症スペクトラム障がいのムスメがおりますが、2歳の頃から療育施設に通っていて、現在も放課後等デイサービスを利用しているので、自己負担額もあるものの、社会保障費のお世話になっている部分が大きいです。

 

社会保障費といえば、生活保護も社会保障費からまかなわれており、不正受給が問題となっていたりもしますが、社会保障費の大もとは国や地方の税金。
その使い方について人々が目を光らせているのは当然のことかもしれません。

 

社会保障費によって障がい者を支えることについてですが、障がい者を身近に感じられない人にとっては、自分の納めた税金がそこに使われていることが疎ましく思う人もいるでしょう。

 

では、私は障がい者を身近に感じて生きてきたかといえば・・・。

 

障がいのある人の世界を身近に感じるように

 

身近に感じる

 

私のムスメが生まれる前、私は障がい者の方たちを、差別することはありませんでしたが、どこか自分からは遠いことにのように思っていて、強く意識することもありませんでした。

無視しているわけでもなかったのですが、「自分など、何もわからない人間がわかったフリをするのもよくない」とどこかで思っていたようにも思うし、特に嫌っていたわけでもないのですが、障がい者の方に自分から積極的に近づくこともありませんでした。

 

福祉の仕事に就こうなんて少しも思ったことがなかったし、どこか遠い世界のことのようにとらえていました。

 

ムスメが生まれ、療育に通うようになってから、様々な障がいの子どもたちに出会ったことで、自然と障がい者に対する意識は変わっていき、ムスメと同じ障がいでなくても、その幸せを心から願えるようになっていったように思います。

 

そして、放課後等デイサービスの職員になった後に、高齢者通所施設の職員になりましたが、高齢者施設には高齢者と定義するにはまだ早いような50代や60代の方も利用しておられ、その多くが脳梗塞やくも膜下出血による後遺症として半身麻痺や高次脳機能障がいになった方たちでした。

 

「人はいつ自分が障がい者になるかわからないのだから」という言葉は子供の頃から耳にしておりましたが、なんとなく、突然障がい者になるケースは、交通事故のような、外的損傷をイメージしていて、頭で「人はいつ自分が障がい者になるかわからない」とわかっていても、以前は、どこか他人事のようにとらえていたように思います。

 

それが、自分の職場で、半身麻痺や高次脳機能障がいの方たちと出会ってからは、「人はいつ自分が障がい者になるかわからない」ということが自分の中でストンと腑に落ちたのです。

 

半身麻痺にはならなかったけれど、私の祖母は脳梗塞で亡くなったし、芸能人の方でも脳梗塞を発症した方のニュースはたまに目にすることがあります。
大橋未歩さんや桜井和寿さんなど、高齢でない方が脳梗塞になったニュースを見ると、「まだ若いのに」と思ってしまうわけですが、それぐらい、脳梗塞は身近な病いと言えるのではないでしょうか。

 

くも膜下出血にしても、星野源さんやKEIKOさん、米良美一さんなどが個人的に印象深いところですが、よく考えると身近な病気ではないかと思うのです。

 

後遺症が出る人とそうでない人がいるわけですが、病気の発見時期や、程度によるところも大きいのでしょうか。

 

まあ何にせよ、脳梗塞やくも膜下出血といった病気はわりと身近なところにあるもので、中には星野源さんのように後遺症なく回復される方もいますが、後遺症が残ってしまう人も大勢いるわけです。

 

「人はいつ自分が障がい者になるかわからない」ということが実感できると、障がい者に対して「社会のお荷物」なんていう考えを持つことはなくなると思います。

ただ、「人はいつ自分が障がい者になるかわからない」ということを実感するには、私のように時間のかかる人もいるということです。

 

心無いことを言う人もいるでしょうが、その人も、出会いを重ね、身内に手助けしなければならない人が出てきたりしたら、考えが変わってくることもあるかもしれません。

 

関連記事(1):ハートネットTV「障害学生のキャンパスライフ」 を見て。中野淳アナが奥様との出会いを語る神回
関連記事(2):AERA(アエラ2019年4月29日号)伊是名夏子さんの記事を読んで
 

 

 - 戯言, 自閉症スペクトラム、発達障がい