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障がい児と通常級。あちこちで批判の多い奥山佳恵さんのことなど

      2018/11/15

何度かネットのニュースでタレントの奥山佳恵さんのことが報じられているのを見かけましたが、ニュースの下の方にあるコメントが批判ばかりだったので、気になる存在ではありました。

 

私はNHKの福祉関係の番組はわりと見ている方なので、NHKの番組にダウン症のお子さんのお母さんとして出演しているのも何度か見たことがあります。

 

なぜ今日、奥山佳恵さんのことを取り上げたのかと言いますと、最近、熊田曜子さんが児童館に入館拒否されたニュースがあちこちで議論されているのを見て、タレントという職業の影響力の大きさをあらためて感じたからです。

 

奥山佳恵さんについての批判

 

奥山さんに対する批判は、大きく分けると二つあり、一つはご長男を友人や隣人に半年近く預けたことをEテレ「土よう親じかん」という番組で話していて、毎日の保育園の送り迎えやご飯、お風呂もみんなお願いしていたことに対して。

 

そしてもう一つの批判は、次男のダウン症のお子さんを小学校の通常級に在籍させたことに対するもので、こちらの批判は現在もよくネット上で見かけます。

 

6歳のご長男を半年近く預けていたというのは、戦時中の非常事態ではないのだから、他人にこんなに長い間預けるというのは常識的に考えられない話ですね。

しかし、ずっと以前の出来事なので、今さらどうこう言っても仕方ありません。

 

 

ダウン症のお子さんを小学校の通常級に在籍させたことは、現在進行形の出来事なので、今もこれからも、学校を卒業するまで批判がつきまとうことかと思いますが、私の個人的な考えでは、このことについてははっきり否定も肯定もできません。

 
以前の記事にも書いた通り、私のムスメは特別支援級から通常級に籍をうつした子なのですが、支援級のこともよく知っているし、障がいのある子が通常級に籍を置いている子のこともよく知っています。

 

そして、特別支援学校も、親として見学に行った経験の他に、放課後等デイサービスの職員をしていた頃に、送迎で行ったり、イベントに招待されたりしたのでおおよそのことはわかります。

 

奥山佳恵さんと同じ選択をしたダウン症児のお母さんも数人知っているので、「知的障がいのある子が通常級に」というテーマは私にとって、身近なテーマでもあります。

 

支援級にも通常級にも、いろんな子がいるので

 

たくさんある奥山さんへの批判の論点としては、結局、「どれだけ他人に迷惑をかけて生活しているか」につきるかと思います。

 

「どれだけ他人に迷惑をかけて生活しているか」という点でいえば、障がいのある子が小学校の通常級に在籍しているというだけでは、批判の対象になりはしないでしょう。

要所要所で保護者が学校に出向き、子どもの補助をして、先生や他の子のお世話にならないようにしているご家庭もあるので、全ては一律に語れません。

 

私の個人の経験から言うと、障がいのある子もそうでない子にも、迷惑なお子さんはおられます。

 

 

 

ムスメよりも年下の支援級在籍の女の子で、オムツをしていて、知的障がいのある子がいます。

その子が週に3度は我が家のドアホンを鳴らし、ムスメと遊びたいと主張して我が家はとても困っています。

対等に遊べる感じではないし、わがまま子なので、ムスメは遊びたがらず、「宿題が終わってないから遊べない」と理由をつけて断るのですが、玄関から無理やり中に入ろうとしたり、ドアを閉めさせてくれないので本当に困っているのです。

 

その子のお母さんが、何故、一人で遊びに行かせているのかが謎なのですが、たまに近所でお会いしても、「あなたのお子さんは、まだ一人で外出させるのは無理ではないでしょうか」なんて私には言えません。

 

上記は支援級の子の話ですが、通常級の子であっても、同じように困らされた子がいました。

 

 

 

我が家の近くには小さな公園があり、いろんな子どもたちが遊びに来ています。

 

その公園にはトイレがなく、ムスメが公園で知り合った子が、我が家にトイレを借りに来ることがありました。
トイレを借りるのは別に構わないのですが、トイレを借りた後に、我が家から出て行かなくて困ったことがあるのです。

 

同じ小学校の子で、ムスメより年下の子ですが、よく知らない子なので、家で遊ばせるわけにはいきません。
「お天気がよいから外で遊ぼうよ」と言っても出ようとしないし、「知らないおうちにいたら、お母さんが心配するよ」と言っても出て行かず、我が家の中を自由に歩き回り、いろんな部屋に出入りして楽しんでいました。

 

特に発達に問題のある子という感じもしなかったので、しつけの問題なのだろうな、と思いました。

 

療育で知り合った障がいのあるお友達が何人か我が家に遊びに来たことがありましたが、勝手にいろんな部屋のドアを開けるようなことはしませんでした。

人に迷惑をかける子というのは、障がいがあろうとなかろうと、一定数いるということなのだと思います。

 

 

ただ、明らかに何かしらの支援が必要なのに、1年生から通常級に在籍しているお子さんがいることは確かで、先生に重い負担を強いていたり、度々授業を中断させることになっていたりする光景も目にしているので、そういったお子さんにネット上で批判が集まるのもわからないではないです。

 

お互いに気にしないでなんとかやっていける?

 

長いことムスメの療育に通ったので、私にもいろんな人間関係がありますが、私の知人でも、コミュニケーションが難しい自閉症のお子さんを小学校の通常級へ1年生から在籍させ、学校側の説得で3年生から支援級に籍を変えたという人がおります。

 

そして、自分の子が他の子の迷惑になっていることを全く気にしていない様子も見ているので、「私と価値観が合わないな」と心では思っていました。

 

その知人は、奥山佳恵さんと重なる部分があって、性格が陽気で、活動的な人です。

話していて、楽しいところは私も大好きなのですが、まわりの人を自分の都合で振り回すようなところがあるので、頻繁に会いたいとは思いません。

 

 

きっと、奥山佳恵さんは、友達も多いのだろうし、その明るさと人懐こさで、いろんな人に助けてもらいながら、子育てをされているのだと思います。

どんなに陰で批判されようとも、全く気にしないし、自分の価値観を全うして、幸せな気持ちで生きていくのでしょう。

 

 

学校へ行っていると、障がいがある子もそうでない子も、いろんな子がいろんな人に迷惑をかけていて、いかにそれをやり過ごすかが、個人的な課題となってきたりします。

「お世話係」なんて言葉もありますが、私のムスメも、クラスの女子に押し付けられて、言葉の通じない外国人の子のお世話係をしたこともあります。

 

 

迷惑をかけられた方は、それはもう、嫌な気分なわけですが、そんな嫌な気分をたくさん乗り越えて、学校というところに失望しながら、ムスメに、「学校はそういうところだと割り切って、週末と放課後を楽しもうよ」と声かけをする日々です。

 

ムスメは3年間支援級在籍だったので、通常級の保護者の方たちからけっこう厳しい目で見られておりますが、授業も静かに受けて、勉強もそこそここなし、係や当番の仕事もサボらずやっているので、陰口を言われたり、ネットで悪口を書かれるようなことは多分ないと思っています。多分・・・。

 

 

障がいのある子というだけで、「何か迷惑かけるんじゃないか?」という目で見られるのは経験済みなので、実際に迷惑をかけているお子さんに対して、多少のことは目をつむっていきたいと思うのですが、あまりにムスメの負担が大きいときは、学校の先生に調整してもらい、それでも無理なときは、なんとか逃げ道を探し、やり過ごしていきたいと思う今日この頃です。

 

だってね、どうにもならないじゃないですか。
合理的配慮だとか、当然の権利だとか言われたらそれまでだし。

 

 - 戯言, 自閉症スペクトラム、発達障がい