ふくしのおもちゃ箱

おもちゃと療育、障がい児や高齢者福祉、ときどきウクレレ

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高齢者施設における若年障がい者(40代、50代あたりの年齢)の存在

   

高齢者施設は平均して80歳以上の方のご利用が多いように思いますが、脳梗塞などの後遺症で半身麻痺がある方など、50代の若い方も稀に利用されていたりします。

私が勤務する通所施設でも、数人ですが、そういったお若い方が利用されていて、50代がお一人、60代がお二人ほどいらっしゃいます。
若い利用者さんの場合、半身麻痺の方が多いのですが、車いすで移動できるそれなりに設備の整った施設が望まれます。

私の勤務先は、1日、30~40人くらいの方が利用する比較的、規模の大きなデイサービスで、フロアも広く空間に余裕があり、機械浴やリフト浴などの設備が整っていたりするので、車いすの方には過ごしやすそうです。
そんな理由で50代や60代の若い方も利用されているように思います。

若い世代の方が高齢者施設を利用したときの問題点

高齢者とは言い難い若い世代の方が高齢者施設を利用した場合、何が問題かといえば、それは趣味・し好が違うことで、話題が合わず、レクレーションなどを退屈と感じるということです。

もちろん、自分が楽しめることだけ参加して、後は新聞を読んだり、ご持参の本を読んだりといった過ごし方をしている方もおられ、高齢者と話題や趣味が合わないことが特に問題とならない方もおられます。

しかし、お一人だけどうしても施設での過ごし方が難しい方がおり、それが一番若い50代の利用者さんでした。
怒りっぽく、興味の幅も狭い方なので、当然、レクの内容も気に入っていただけないし、よくモノに当たったり、怒鳴ったり、他の利用者さんと喧嘩されていました。

同世代の職員がマンツーで関わっていれば比較的穏やかに過ごされているのですが、高齢者施設は人手不足。マンツーで1日がっちり付き添えるような体制はとれません。

他の施設を断られたこともある方と上司から聞いたことがありますが、まあ確かに、ある程度の協調性がないと、デイサービスのようなところは無理だろうなと思います。

私の勤務先は、崇高な理念を掲げている社会福祉法人なので、利用者さんを断ることはしていないようですが、いくら理念が崇高でも、利用者さんの怒りばかりを向けられては、職員の心が疲弊して退職につながり、さらなる人手不足を生んでしまいます。

高齢者施設が高齢者向けのレクをやるのは少数者を尊重しないということ?

先日、「自分は少数の人が我慢をすればいいというのはおかしいと思う」とその50代の利用者さんが苦情を訴えてきました。
私はそれに対して、「我慢させてすみません」とだけ言って、そのことを上司に伝えることしかできませんでしたが、高齢者施設のあり方など、いろいろ考えてしまいました。

今まで、いろんなトラブルがあったので、施設の職員全員が、その利用者さんのことを気にかけ、優しく接しています。
本当は利用者さん全員に対して平等でなければならないのに、その若き怒れる利用者さんに対して、言葉をかける頻度が圧倒的に多かったりします。

確かに、レクなど、全員を対象にして行う時間は退屈なときもあるかもしれませんが、他の時間帯はかなり優遇して接しているような気がするので、少数の人をないがしろにしているようなことはないと思うのです。

この件について、上司は、「今まで、彼に対してサービス過剰だったから、彼にとってそれが普通になってしまい、もっともっとと要求が強く出るようになったのかもしれないね」と言っていました。

私たちが高齢者になったときのことを考えてみると

私たちが高齢者になったとき、現在の高齢者施設で提供しているような、昭和歌謡や季節の話を好んだりはしないと思います。

しかし、スマートフォン世代の私たちは、施設にスマホやタブレットを持ち込んだりもしそうです。

そう考えると、わりと自立した世代なのかもしれません。
職員に常にかまってもらえないからと怒るような人もあまりいなさそうだし、集団の中でも、興味ない活動だったら、スマホやタブレットをいじっている人も多そうです。
ゲーム好きも多いだろうし、イヤホンでそれぞれの好みの音楽が聴けたりもします。

そんな気もするのですが、やはり、「誰かにかまってもらいたい!」という人は、どの世代にもいるのでしょうかね。
「かまってちゃん」という言葉があるくらいだから、誰かに気にかけてもらうことに過剰に意識を注いでいる人が世代、性別問わずいるのかもしれません。

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