トリイ・ヘイデンを読み返す(1) その後の人生は?
2018/02/07
トリイ・ヘイデン(Torey Hayden)は『シーラという子 虐待されたある少女の物語』(原題:One Child)を代表作とするアメリカの児童心理学者で、私が最初にこの本を読んだのは大学生のときでした。
ノンフィクションならではのリアリティと、文章からわかるトリイのあたたかい人柄に魅了され、その後、続々と出版されたトリイの著作を全て読んでいきました。
私も一児の母となり、多忙な毎日を過ごしているうちに、無意識にトリイの本から遠ざかっていたのですが、最近ふと、「あ、そういえばトリイが担当した子の中に、自閉症の子もいたはず」と思い出したのです。
私の娘は自閉症スペクトラムという障がいのある子なのですが、娘が診断されてから、様々な自閉症や発達障がいの本を読んできました。
しかし、トリイと自閉症を頭の中でなかなかリンクさせることができなかったので、つい最近まで、彼女の著作の存在を忘れてしまっていたのです。
私がトリイの作品に夢中になっていた頃は、まさか自分のもとに自閉症の子供が生まれるなんて想像もしていなかったので、トリイのことを、「情緒的に問題のある子の先生」と認識してはいましたが、日本で使用されている「療育」の先生という解釈ができなかったのです。
私が「療育」という言葉を知ったのは、自分の子が生まれた後でしたし。
そんなわけで最近、トリイのことを思い出した私は、トリイの本を読み返すと共に、現在、トリイは何をしているんだろう?とトリイのことをいろいろ調べてみました。
トリイ・ヘイデンは書店で平積みになって本が売られているようなベストセラー作家でしたが、日本での新作の出版は、2005年の『霧のなかの子 行き場を失った子どもたちの物語』以降、出版されていません。
近くの図書館で彼女の作品を探したところ、なんと、閉架書庫に入っている作品もいくつかありました。
ベストセラーだったというのに!
私はいくつかのトリイの作品を読み返しましたが、今読んでも惹きつけられ、心が動かされています。
トリイ・ヘイデンは過去の人なんかじゃない!と心から思いました。
私が彼女の作品のことを忘れてしまっていた理由の一つに、トリイは専門用語をあまり使わないということが挙げられます。
『愛されない子―絶望したある生徒の物語』(原題:Just Another Kid)という本を今読み返しているところですが、その中に、ABA(応用行動分析学)を用いたアプローチをしているところがあります。
もちろん、トリイはABAという言葉は使用していませんが、ABAのことを知っている人だったらすぐにわかります。
具体的には、少女が正しいカードを選ぶことができたら、少女の口に細かく刻んだキクイモを入れるという取り組みをしている場面なのですが、これは自閉症児などに用いるABAの手法です。
私の娘も幼児期に、ABAによって様々なことを学習したのですが、まさかトリイも同じことをしていたなんて、思いもよらなかったです。
私はトリイの作品と自分との「縁」を感じ、このブログでもどんどん掘り下げていきたいと思います。
また続編の記事を書きますね。
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