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Eテレ「バリバラ×セサミストリート」を見て。自閉症の女の子ジュリアと素晴らしい仏向小学校

   

先日、Eテレで「バリバラ×セサミストリート」というバリバラとセサミストリートのコラボ企画が放映されていました。

私が子供の頃は、毎日のように「セサミストリート」 (Sesame Street)の番組をテレビでやっていたものですが、今は特別なときしか見られないのが残念ですが、セサミストリートの番組制作は、社会的に意義のある番組を作ろうと、努力を重ねてきた様子が、今回のバリバラ冒頭の紹介でわかりました。

自閉症の女の子ジュリア

バリバラ仏向小学校

アメリカの教育番組「セサミストリート」に自閉症の女の子、ジュリア(Julia)のマペットが登場したのは2017年の春。

番組の制作クルーたちは、ジュリアをどんな女の子にするか、長い時間をかけて相談し合いながら制作を進めたそうです。
自閉症と診断された子は、一つのタイプでは説明できないほど、いろいろな子がいるので、自閉症の症状のどの要素をジュリアを通して表現するか、簡単に決められることではなかったと思います。
様々な自閉症の当事者やその家族に、共感してもらえるようなキャラクター作りは本当に難しいことと思います。

ジュリアは髪飾りのリボンやバレッタなどを付けていなくて、前髪が短めに切り揃えてあり、服はゆったりとしていますが、それにも理由があって、触覚過敏であることを表しているそうです。

今回の「バリバラ」で紹介されたジュリアの登場シーンは一部分だけですが、セサミストリート日本公式チャンネルでは、フルで公開されていました。

「バリバラ」では放送されなかった部分もあり、例えばジュリアが大きな音を怖がるシーンなどです。

自閉症の子がイヤマフを耳にしているところを見たことがある方もいるかと思いますが、自閉症の人は聴覚過敏の症状を持つ人が多くいますね。
音を怖がったジュリアを別の場所へ連れて行き、お気に入りの人形と過ごして元気になっていくところも、対処法がちゃんとあるということへの理解につながると思います。

ビッグバードがジュリアに話しかけてなかなか返事をしてもらえなかったり、ハイタッチを拒まれたりして、「嫌われているのかも?」と落ち込んでしまうところもありますが、そんなジュリアの変わった行動について、わかりやすく説明してくれる人やキャラクターがいて、ビッグバードはジュリアの特性を受け入れていきます。

この「わかりやすく説明をしてくれる人」というのも重要で、私のムスメの通う小学校の先生方で、それができる人がおらず、支援級の子どもたちが、通常級の子と友達になることを難しくしている状況があったりします。

 

「バリバラ」に登場した小学校の素晴らしさ

セサミストリート

 

横浜市の仏向小学校のゆりちゃんという小学5年生の女の子が、クラスのお友達と話がかみ合わなかったりする状況を改善するために、セサミストリートのジュリアやエルモが一役買うような内容なのですが、このような企画を受け入れる小学校の素晴らしさに感動しました。

 

私のムスメの通う小学校が福祉の授業の題材として扱うのは、視聴覚障がいだけなので、実際に学校にも複数いるはずの自閉症については全く説明をする機会はありません。

支援級に在籍する子の障がいをカミングアウトすることにもつながるので、学校側も自閉症については説明しにくいからかもしれません。

障がいを受け入れ、向かい合わなければ、障がいのある子にとって、よりよい生活環境は整わないと私は思っているので、自閉症について学習する機会を設けない学校に対して、私は否定的に思っていたります。

 

Eテレで、過去にも発達障がいの関係(「“いるんだよ”って伝えたい〜横浜特別支援学級の子どもたち」)で登場した小学校は、横浜市の飯島小学校という学校でしたが、こちらも特別支援の取り組みが素晴らしい学校で、どうしてEテレは、このような素晴らしい学校にアプローチすることができるのだろう?と疑問に思って調べてみました。

 

仏向小学校には現在、岡田克己先生という全日本特別支援教育研究連盟、LD学会の会員になっておられる研究熱心な先生がいらして、以下のような書籍を共著で出されています。

CD-ROM付き 特別支援教育をサポートする ソーシャルスキルトレーニング(SST)実践教材集
CD-ROM付き 特別支援教育をサポートする ソーシャルスキルトレーニング(SST)実践教材集

そして過去のEテレ「“いるんだよ”って伝えたい〜横浜特別支援学級の子どもたち」で紹介された飯島小学校の特別支援級の担任で、日本LD学会会員の大山美香先生は29年度から仏向小学校に異動されました。

横浜市教育委員会特別支援教育課主任指導主事や特別支援学校教諭を務められた経験があり、日本LD学会会員の冢田三枝子先生も29年度から仏向小学校の校長に着任されました。
ちなみに冢田三枝子先生は以下のような共著を出されています。

小学生のスタディスキル―「学び方」がわかれば、学校はもっと楽しくなる
小学生のスタディスキル―「学び方」がわかれば、学校はもっと楽しくなる

写真でわかるはじめての小学校生活
写真でわかるはじめての小学校生活

 

つまり、29年度の仏向小学校は研究熱心な先生方による特別支援のスペシャルタッグが成立しているというわけですね。

Eテレに出てきた小学校を調べて、特別支援の体制が充実するかどうかは、研究熱心な先生が在籍しているかにかかっているということを知りました。
研究熱心でなかったとしても、それは先生のプライベートの時間をどう使っているかということなので、あまりとやかくは言えませんし、自分の子どもの学校が良くなるかどうかは運しだいととらえてよいのかもしれません。

学校の先生に、プライベートの時間を特別支援の研究に費やして下さいなんてお願いはなかなかできませんよ。。。。
モンスターペアレントと言われてしまいますものね。

 - 自閉症スペクトラム、発達障がい