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「立ち止まって考える」発達障害の栗原類さんが「きょうの健康」で話したこと

   

年末年始に「録画したけど見ていなかったテレビ番組」の整理をしていました。
少し前ににEテレ「きょうの健康」で、モデルの栗原 類さんの発達障害についてお話していました。

 

心に留まったことがいくつかありましたので、このブログでも紹介したいと思いました。

 

子どもの頃の栗原 類さん

 

子どもの頃の栗原 類さんは、相手のユーモアを理解することが苦手でした。

 

冗談を理解するのが苦手というのは、私のムスメにも共通しているところなので、とても興味深かったです。

 

「人前であまり笑うことがなかった」という栗原さん。

自閉症スペクトラム障がいの人には、表情が乏しい傾向を持つ人がいますが、栗原さんの場合「言われた通りにしか解釈できない」故に、ユーモアの感性が自分の中に育たず、笑うことが少なくなったのではないかと自身を分析しています。

 

また、栗原さんは「記憶できない」という症状があり、家でゴミ出しを頼まれても忘れてしまったり、学校でも先生の言うことが記憶に残らなくて苦労したそうです。

 

「記憶できない」というのはワーキングメモリが関係しているのでしょうが、自分は「記憶に残りにくい」と自覚することが対策への第一歩なのでしょうね。

 

栗原 類さんの主治医・高橋 猛先生のアドバイス

 

不登校も経験した中学時代の栗原さん。

学校の先輩に因縁をつけられ、頭が混乱し、動揺して怖くなったことで、学校に行けなくなりました。

 

当時の様子をよく知る、主治医の高橋 猛先生(高橋医院院長)は、相手の言葉を分析せずに真に受けてしまい、自分の憶測だけで答えてしまう栗原さんに対して、「立ち止まって考える」というアドバイスをしたそうです。

 

発達障害の人は思考のブレーキが効かないという傾向があるため、頭の中が混乱しがちなので、一度立ち止まって反芻(はんすう)し、相手のことも考えて、より客観的な判断をすることが大切とのこと。

 

高橋先生がアドバイスする、「立ち止まって考える」ことは大切ですが、私はそこに、「一度持ち帰って、信頼できる人に相談してみる」ことも必要かと思いました。

 

「相手の言葉をそのまま真に受ける」という傾向がある場合、自分一人では、いくら考えても、なかなか言葉の裏側は見えてこないのではないでしょうか。

 

その点、栗原さんはお母さんにも相談しながら、「人の言葉の裏側」を理解していったのだろうな、と思います。

 

栗原さんのお母さんの泉さんは、「ブレない子育て 発達障害の子、「栗原類」を伸ばした母の手記」という本を出しましたが、自分の子をよく観察して「生きる術」を教えてきた方というのが伝わる本でした。

 

ブレない子育て 発達障害の子、「栗原類」を伸ばした母の手記
ブレない子育て 発達障害の子、「栗原類」を伸ばした母の手記

 

「立ち止まって考える」ということを実践した栗原さんは、それによって上手くいくことも、そうでないこともあったけれど、結果的には自分に自信がついて、人との関係も広がっていったそうです。

 

無理をせずに楽しく

 

「同じ発達障害の人にアドバイスしたいこと」について聞かれたとき、栗原さんは、一番に「無理をしない」ということを挙げていました。

 

「自分のキャパシティを把握しないで無理をし、倒れてしまったりすると、周囲に迷惑をかけてしまうので、自分のキャパシティを把握しながら勉強や仕事をすることを忘れないでほしい」と注意すべきことを話した後、「楽しいことを目標にしてほしい」とモチベーションの維持について話していました。

 

「何事も好きなものでないと頑張れないし、努力が続けられない」ということで、栗原さんは、記憶することが苦手だけど、お芝居は好きだから頑張れている。」

 

栗原 類さんのお芝居といえば、村上春樹原作の「ハナレイ・ベイ」という映画が個人的には思い出されますが、若い(現在24歳)栗原さんが、吉田羊さんの夫役という意外なキャスティングが面白かったです。

 

そもそも人は十人十色

 

最後に栗原さんは、視聴者へのメッセージとして、「十人十色」という言葉を色紙に書いていました。

 

発達障害 色紙

 

「発達障害であっても、そうでなくても、どんな人でも全然違う人間なので、その人によって、ペースだとか(受けた)教育は全然異なると思うんです。自分自身に合ったやり方を探してほしいなと思います。」

 

同じ診断名であっても、いろんな性格の人がいて、症状の出かたも様々ですね。

 

当事者の話を聞くのは参考になることもあれば、「自分には当てはまらない」ということもあります。

 

栗原さんのお母さんの著書に、「周りの雑音に振り回されないために、自分なりに知識を持つ」といったことが書かれていましたが、情報を集めた後に取捨選択をしていくことが大切なのでしょうね。

 

栗原さんのテレビでの発言や、栗原さん自身の著書「発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由」を見る限りでは、類さんとお母さんの泉さんの考えに大きな違いはないように感じています。

 

発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由
発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由

 

 

最近、元親方貴乃花さんと息子の花田優一さんのことがメディアでよく取り上げられますが、その発言の食い違いぶりを見る限り、バラバラな親子関係であることがよくわかります。

 

発達障害の子を育てるのは大変さもあるのですが、一緒に障がいに向き合うことで、親子の絆は深くなるのだろうな、と勝手に思うのでした。

 

 

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